LEDや蛍光灯は、高速で点滅しています。問題はないの?
LEDも蛍光灯も、細かく点滅を繰り返しています。目には見えないほどの速さですが、ビデオカメラを通すとこれを捉えることができます。
この点滅のために、フリッカー現象(ちらつき)が起きます。ここでは、フリッカーの原因を詳しく解説します。
蛍光灯の発光原理は?なぜ点滅しているのか
蛍光灯は、蛍光物質を塗ったガラス管の中を真空にして、その中に水銀とアルゴンなどのガスが封入されています。
この管の中に両端から電気を流すと、反対側の電極に向かって電子が飛び出して移動します。
この時に、電子が蛍光管の中の気体となっている水銀にぶつかることで摩擦エネルギーが起き、紫外線を発生させます。蛍光灯というのは、実は紫外線発生機なんですね。
紫外線は可視領域の外にあるので目には見えません。これを可視光線に変えるのが、蛍光管の内側に塗られた蛍光物質です。
蛍光物質とは、ある光の波長を吸収し、それとは違う波長の光を放出する物質のこと。
電子と水銀が触れて発生した紫外線は蛍光管の中で蛍光物質にぶつかって、紫外線が吸収され、可視光線が多く出てくるという仕組みなのです。
蛍光灯が細かく点滅していると言われる理由は、1秒間に電子が飛び出していく回数(周波数)が決まっているためです。
LEDの発光原理は?なぜ点滅しているのか
蛍光灯の発光原理は白熱電球とほとんど同じで、飛び出した電子がほかの物質に触れることでエネルギーを光や熱などほかのものに変換しています。
しかし、LEDの発光原理はまったく違います。LEDは、白熱電球のフィラメントや蛍光灯の水銀のようなほかの物質は存在せず、電気を流すための半導体を使っています。
半導体とは、電気を通す物体と通さない物体の中間の存在。わかりやすく言うと「電気を通すための条件をコントロールできる物体」です。
LEDに使われる半導体は、プラスの電気を流すようにした半導体とマイナスの電気を流すようにした半導体がくっつけられています。
こうしてプラスとマイナスの電気が衝突することによって生まれたエネルギーを光に変えています(蛍光灯のように電子が他の物体に衝突して生まれる摩擦のエネルギーとは原理が異なりますが、厳密な解説は長くなるので割愛します!)。
LEDが高速で点滅している理由も、蛍光灯と同じで、1秒間に電子がぶつかることのできる回数が決まっているためです。
なぜ白熱電球は点滅しないのか
白熱電球は、タングステンでできたフィラメントに電気を流すことで、その摩擦によって熱が生じ、フィラメントが高温になることによって光を発生させています。
一秒間に流れる電子の数が決まっていますが、一度熱くなったフィラメントには余熱が残り、一秒間の中で冷温を繰り返すほどには温度が変化しません。
冷える前に次の電子の衝突が起こる、ということを繰り返しているので、白熱電球は点滅しているようには見えないのです。
どれくらいの速さで点滅しているのか?
西日本では周波数が60ヘルツ、東日本では50ヘルツです。周波数は一秒間に流れる電子の数を表しています。
プラスとマイナスの電気が移動するので、一秒の発光回数はその倍。蛍光灯もLEDも、西日本では1秒間に120回、東日本では1秒間に100回点滅していることになります。
これは、人間の目には認識できない速さです。
ただし、ビデオカメラでなら撮影が可能です。動画というのは厳密には静止画の連続。
アニメーション、パラパラ漫画と同じです。1秒間にこの静止画を何枚入れるかを表す数字が、フレームレート(fps)と呼ばれる数字です。
これが電球の点滅回数と同期していれば点滅は映像には写りません。しかし、ズレがあるといとも簡単に点滅を撮影することができます。
従来のフレームレートならちらつきは写りにくい
試しにiPhoneで、パソコンのモニタから出ている光(LED)を撮影してみましょう。
これはiPhoneのデビオカメラで撮影した映像。デフォルトのフレームレートは30fpsです。
ここは東日本なので、周波数は50ヘルツ。1秒間に100回の点滅なのでフレームレートと回数はぴたりと同じではありませんが、ほとんどちらつきはありませんね。
フレームレートは細かいほど滑らかに見え、15fps以下だと見た目にもカクカクしてしまい、美しい映像に見えません。
映画の場合はコストの問題から24fpsが規格となっていますが、地上波放送は30fps。このあたりが、人間が見て違和感がなくデータ量もほどよいバランスのコマ数なのでしょう。
高いフレームレートの場合は大問題
これをiPhoneのスローモーションモードで撮影してみます。スローモーションのフレームレートは、設定画面で240fpsを選びました。
するとどうでしょう。同じものを撮影しても、このように激しい点滅が写ってしまいました。
先ほど、30fpsならLEDのフリッカーが出にくいと書きましたが、問題なのは昨今、動画市場は軒並み高いフレームレートへと移行していることです。
大容量データを扱えるデバイスが増えたりクラウド管理できるようになり、データのコピーや保管が楽になったことが背景です。
ハイビジョン映像は60fpsで撮影されます。YouTubeが60fpsに対応したり、iPhoneで60fpsで撮影可能になったりと、世の中はハイビジョンブームですね。
また、スポーツなどでは決定的瞬間のリプレイや判定にスローモーション映像が欠かせません。
フリッカーが起きないLEDが今後の標準になる!
様々な施設でLED化が進んでいますが、映像化した時にどのようになるかは上の通りです。これでは、スポーツ施設やコンサート会場でLEDは使えない、ということになってしまいます。
しかし実は、フリッカーが起きないLEDも登場してきています。弊社の扱うLED投光器「エスエフ」は、フリッカーを抑えるLED投光器の中では、世界最高峰のモデル。
1,500fpsでもフリッカーが出ません。これならスポーツ映像も綺麗に撮影することができます。
一口に照明と言っても、明るさや省エネ性だけではなく、商品選定の際に注意しなければならないポイントはいくつもあります。
フリッカーもその一つ。用途に合わせた照明を選ぶなら、プロにぜひお任せください!
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