投光器に使われる高輝度電球の種類
投光器には、様々な種類の電球が使われています。投光器を検討中の方は、水銀灯、メタルハライドランプ、ハロゲンランプなどの言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか。それぞれ、何がどう違うのかを解説します。
水銀灯
水銀蒸気の放電時に発生する光を利用した照明です。比較的安価で超寿命、発光効率が高いことが特徴で、街路灯などに広く使われてきました。 点灯させると最初は暗く、明るくなるまでに5分程度の時間がかかります。一度消灯したら、冷めるまで10分程度再点灯できません。赤色の光が欠けているため光の色が青白く、演色性が悪いというデメリットがあります。電流が上昇すると管の電圧が低下し、過電流で壊れてしまうため、安定器を必要とします。 水銀は、水俣病の原因となった金属です。この公害事件は世界的にも広く知られており、熊本県で起きた悲劇を繰り返さぬよう、水銀の取り扱いには制限を設けるよう法整備が進んでいます。これについては詳しく別のページで解説します。
ナトリウム灯
ナトリウム蒸気の放電時に発光する光を利用した照明です。水銀灯と同じく発光効率が高く、強い明るさを作り出すことができます。水銀灯と同じく安定器が必要です。 光の色は単色のオレンジがかった黄色で、演色性は非常に悪いです。しかし、この単色の黄色い光は波長が長いため排ガスや埃の中でも光が乱反射せずに通りやすいという特徴があり、道路やトンネル内の照明に使われてきました。 フォグランプが黄色いのも、同じ理由です。最も波長が長いのは赤色の光ですが、自動車に赤色の灯火は尾灯にしか許されていないので、フォグランプは黄色を採用しているのです。 最近は高圧ナトリウム灯が開発され、演色性の良いナトリウム灯もあります。
メタルハライドランプ
水銀とハロゲン化金属の混合蒸気が封入された電球で、放電時の発光を利用した照明です。水銀灯と同じく安定器が必要です。 ハロゲン化金属には、ヨウ化ナトリウム、インジウム、スカンジウムといったヨウ化物が使われています。これは、花火に色を付ける時にも使われている物質です。この量や割合で光の色を調整することができます。水銀灯やナトリウム灯の演色性のデメリットを解消する存在と言えるでしょう。 寿命が近づいてくると演色性が悪くなっていき、光の色は青緑色に近づいてきますが、最近ではこれを解消する製品が登場しています。 複数の色が含まれていることから太陽光に近く、植物の成長を促すことができるので、アクアリウム照明にもよく使われています。 水銀灯と比べて超寿命で消費電力も少なく、演色性も高いのですが、デメリットは、ランプ自体が高価なことです。
ハロゲンランプ
白熱電球と同じ原理で発光します。フィラメントに通電すると、フィラメントが白熱して光ります。ハロゲンランプは、白熱電球の内部にハロゲンガスを封入したもので、これによってフィラメントを強く、寿命を長くしています。 少し難しい話ですが、フィラメントは通電を繰り返していると昇華して傷んでくるのです。ハロゲンランプでは、フィラメントのタングステンとハロゲンが化合して、昇華しても再びフィラメントに戻るということを繰り返しています。 このため、フィラメントを強く発光させても壊れない、超寿命を実現しているのです。 ハロゲンランプは効率の良いランプなので、非常に明るく、電球自体も小型で十分な性能を発揮します。ただし、白熱電球をさらに強く発光させるというものなので、非常に熱くなるのは難点です。
LED電球
電圧を加えると発光する半導体の性質を利用した照明です。上に並ぶ他の電球とは、仕組み自体がまったく違います。よく知られている通り、画期的と言える超寿命、省電力を実現した明かりです。 白熱球や蛍光灯に代わるものとして、普及が進められています。 水銀灯やナトリウム灯などの高輝度放電ランプ(H.I.D.)とは異なりますが、小さなランプを沢山集めることで強い光が得られます。大量に使っても省電力ですので投光器に続々と採用されています。
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